おはようございます、ゆーじです。
あなたはこんな疑問をお持ちではないでしょうか?
- 商社の付加価値って何?
- どうして商社は付加価値を生み出そうと必死なの?
そんな疑問に対して、現役商社マンの私がお答えしたいと思います。
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商社が付加価値を生み出す方法
商社が付加価値を生み出す方法としては、ざっくりと次があると思います。
- 商社金融
- 在庫調整
- 情報提供
- 貿易に関する諸々の手続き
- 集中購買による有利な仕入れ
- 購買集約
商社金融
1つ目の付加価値は、商社金融です。
「金融」というぐらいですから、端的に言えば金を融通する機能といえます。
一般的に、モノを買うときは、代金を支払いを後ろ倒しにした方が良く、モノを売るときは代金回収を早くした方が良いです。
なぜならば、その方が手元の資金が減らないからです。
手元の資金が減らなければ、次のビジネスに関する投資にその資金をまわすことができます。
そのため、サプライヤーは「早く代金を支払って」といい、顧客は「代金の支払いを先にしてほしい」といいます。
このままでは、両者は取引できないわけですが、ここで商社がバリューを発揮します。
つまり、サプライヤーに対しては、望み通り早く代金を支払い、顧客に対しては代金支払いを後ろ倒しで受けることにより、(決済条件の点で)両者をつなげるのです。
ここに商社の付加価値の一つがあります。
在庫調整
2つ目の付加価値は、在庫調整です。
一般的に企業は「在庫」というものを持ちたがりません。
それは売れ残りを懸念しているからですが、かといって、どこかで在庫をしていないと「ほしい時に製品が無い」なんてことになりかねません。
そのため、在庫調整役が必要となるわけですが、ここで商社がその機能を果たすことにより、バリューを発揮することができます。
ただ、商社としても、あまり在庫は持ちたくないので、この機能が商社にとって望ましいものであるかといえば、そうでもなかったりします。
在庫を持ってしまえば、売れ残りのリスクを抱えることになりますし、また、その在庫を保管している倉庫代などの諸経費がかかります。
さらには、在庫保管中に製品が棄損してしまうリスクもあるでしょう。
(当然、自社でかかえる在庫が壊れてしまったら、それは売ることができませんから、その製品を仕入れた費用や、輸送費、保管費、処分する金額などがまるまる損失として発生してしまいます。)
なので、商社としても在庫は持ちたくないのが本音なんですよね。。。
情報提供
3つ目の付加価値は、情報提供です。
数多くのサプライヤーと付き合い、数多くの顧客と商売をし、数多くの商材を取り扱う商社には情報が集まってきます。
その中には
「このサプライヤーには、この顧客を紹介できるかも」
「この顧客には、このサプライヤーを紹介してあげたら、お悩みを解決できるかも」
なんてことにつながる情報もあったりします。
この「情報」という武器が商社の1つの付加価値になりえます。
貿易に関する諸々の手続き
4つ目の付加価値が貿易手続きの代行です。
輸出、輸入といった貿易を行うには、通関などの諸々の(面倒くさい)作業が必要で、かつ、それは貿易規制や各種法律を順守して行う必要があります。
この貿易に関する作業をサプライヤーや顧客に代わって代行することは、商社の1つのバリューだと思います。
集中購買による有利な仕入れ
5つ目の付加価値は集中購買による安価な仕入れです。
例えば、少ない量しか買わない人と、多くの量をまとめて買う人、どちらが価格交渉で有利に立てるでしょうか。
答えは、間違いなく後者です。
商社は、数多くの顧客のために、まとめてサプライヤーに発注することで、より有利な価格(安い値段)で仕入れを行うことができ、その有利な価格で顧客に販売することができます。
これも商社の付加価値の1つだと思います。
購買集約
6つ目の付加価値は、購買集約です。
メーカーが製品を作る際には、その製品を作るための部品が何百、何千、何万にも及ぶ場合があります。
こんな時に、自社で数多くのサプライヤーと契約を結び、注文書を発行して、代金を支払って、、、とするのは大変です。
こんな時には、商社がまとめて数多くのサプライヤーから部品を仕入れてきてくれたら、とても便利です。
商社1社に注文するだけで、必要な部品をまとめてパッケージで仕入れてきてくれるし、契約交渉もしてくれるので、めちゃくちゃ手間が省けます。
こういった点も商社の付加価値の1つですね。
なぜ商社は付加価値を生み出そうとするのか?
商社は自らのバリュー(付加価値)を発揮しようと懸命ですが、その理由は、「バリューを発揮しなければビジネスから外されてしまうから」です。
商社がビジネスから外されてしまう話は、別の記事でも書いています。
●商社が退場させられる話【商社もなかなか大変です】
商社も慈善団体ではなく、営利企業であるため、自らの利益のために活動しています。
このため、どうしてもモノの売買を行う際には「安く仕入れて、高く売る」ということをせざるを得ません。
そして、その販売金額から仕入金額を差し引いた金額(マージン)が商社の収入になるわけですが、取引先から見ると、
「本当はもっと安く買えたのに、商社がいるせいでマージン分高く買わされる」
みたいな状況が発生してしまうわけです。
そういう意味において、商社は「邪魔な存在」であり、取引先としては、できれば商社をビジネスから締め出してしまいたいと思うわけです。
じゃあ、なぜ商社がそこに介在できるかというと、商社としての付加価値を発揮しているからです。
逆に言えば、商社が付加価値を発揮しなくなれば、取引先は商社を真っ先ビジネスから外すでしょう。
だからこそ、商社は自らの付加価値を発揮しようと必死なのです。
商社は時代に合わせて変化してきた。
時代によって、商社に向けられる(潜在的な)ニーズは異なるでしょうし、そのニーズを掘り出して、商社として発揮できる「お役立ち機能」を常に考え、変化していくことが商社に求められることなんだと思います。
また、実際にそういった変化ができた商社こそが、現在まで生き残ってきたのではないか、とも思います。
このように考えると、商社は「常に変化していくこと自体が付加価値」といえる存在なのかもしれません。
時代はどんどん変わっていきますし、それにあわせて人々の生活もかわり、求められるものも変わっていきます。
商社に要求されるバリューや、商社だからこそ発揮できる付加価値というものも今後どんどん変わっていくと思います。
まとめ
といったところで、まとめると次の通りです。
- 商社の付加価値は、商社金融・在庫調整・情報提供・貿易手続きの代行・集中購買による有利な仕入れ・購買集約。
- 商社がバリューを発揮しようとするのは、ビジネスから外されないため。
- 商社は「常に変化していくこと」そのものが付加価値なのかも。
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