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商社が退場させられる話【商社もなかなか大変です】

投稿日:2019年9月15日 更新日:

商社が退場させられる話【商社もなかなか大変です】

突然ですが、商社と言えばどんなイメージをお持ちでしょうか?大学の後輩(就活生)に聞いてみたところ、「商社は勝者」だと言っていました。なかなか良いイメージを持たれているようですが、商社が敗北する場面というのも当然あります。つまり、ビジネスから外されてしまう場面ですね。今日はそんな「商社の退場」について述べてみたいと思います。

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商社が退場させられる話

商社が退場させられる話

商社は、製品をサプライヤーから購入して顧客に販売し、その時にマージンを得ることで収益をあげています。

「マージン」というのは、製品を販売するときの金額から、製品を購入した時の金額を差し引いた金額のことです。難しい表現をすると、「売上総利益」とか「粗利」などといったりします。

つまり、「サプライヤー ~ 商社 ~ 顧客」という具合に商流に介在していることが、収益を得るために大切なことなのですが、商流から商社が外されてしまうという場面がしばしばあります。

理由は、やはり、商社を介在させてしまうと、マージンを抜かれてしまうからですね。顧客としては、商社を抜いてサプライヤーと直接取引をすれば、安く製品を購入することができます。

あるいは、サプライヤーとしては、今まで顧客に対して商社がマージンを上乗せして取引していたわけですから、そのマージン分もサプライヤーの利益にしてしまいたいと考えるかもしれません。

そんなわけで、顧客が商社を外して取引を始めようとしたり、サプライヤーが商社を迂回して取引することを模索したりする場面がしばしば発生します。

もちろん、このような場面に遭遇すると、商社側は必死で抵抗します。商流から外されるということは、収益源を失うということと同義ですから。

商社側は、営業担当者が直接乗り込んで交渉を行ったり、あるいは、法務部が契約書を持ち出して少しでも交渉に有利になりそうな条件を探してみたり、さらには、裁判(を起こすフリ)をしてみたりと、ありとあらゆる手段を使って抵抗します。

が、商社の抵抗もむなしく、商流から外されてしまう、ということはしばしば起きてしまっていますね

そもそもなぜ商社を通すのか

ここまで読んでいただくと「そもそもなぜ商社を通すのか」という疑問を持たれるかもしれません。「途中から商社を外すくらいなら、初めから商社を通さずに直接サプライヤーと顧客で取引をすれば良いでしょ」という疑問は当然だと思います。

これについては、先日記事を書きましたが(商社が付加価値を生み出す方法【変化することが重要です)、商社が(初期のビジネスに介在する)理由としては、次のことがあると思います。

  1. サプライヤーにとって、顧客の与信が立たない。
  2. 顧客にとって、少量の購買は集約してしまいたい。
  3. 顧客にとって、サプライヤーが信用できない。

1.サプライヤーにとって、顧客の与信が立たない。

「与信が立たない」というのは、つまり、サプライヤーにとって顧客がきちんと代金を支払ってくれるという信用が与えられない、ということです。

顧客が中小企業だったり、財務状態が良くない企業だとすると、サプライヤーとしては、当然「この顧客は代金を支払ってくれなさそう」「この顧客には製品を売りたくない」と思うわけです。

そこで、商社に製品をいったん売ってしまい、商社から代金を回収するという手法をとるのです(その後、商社から顧客に販売)。商社としては「与信リスクの吸収役」としての機能を発揮していることになります。

2.顧客にとって、少量の購買は集約してしまいたい。

世の中には、あんまり数はいらないけど、製品を製造するために絶対必要な部品なんてものが結構あります。しかし、製品を購入するのって、意外と手間だったりするんですよね(必要な書類を集めたり、取引口座を開設したり、伝票を作ったり・・・)。

しかも、そんな部品を作っているのが、数十社、数百社なんてなってくると、その各サプライヤーに対して、いちいち手間をかけていたら、それだけで一日が終わってしまいます。

そこで、そんな顧客の手間を商社が肩代わりして担うことがあります。つまり、商社が数十社、数百社から顧客にとって必要な部品をまとめて購入し、それをまとめて顧客に販売するのです。商社が購買集約機能を発揮する場面ですね。

3.顧客にとって、サプライヤーが信用できない。

顧客にとってサプライヤーが信用できない、という理由もありますね。

サプライヤーと顧客が直接取引をした場合、サプライヤーが販売した部品に何か不良があって、顧客の製品に不具合が発生したときは、顧客からサプライヤーに対して損害賠償請求をしたりすることになります。

しかし、サプライヤーが中小企業だったり、あるいは、ベンチャー企業だったりして金を持っていなかったりすると、賠償してもらえないわけです(持ってないものは、支払いたくても支払えませんからね)。

こういったときには、顧客は、商社を通してサプライヤーから製品を買うようにします。そうすれば、顧客が直接部品を買っている相手は商社になるので、損害賠償請求をする相手もその商社になります。

商社は、そういった「もしもの時のリスクの吸収役」として駆り出されることがあるのです。

結局、商社の付加価値で決まる。

結局、商社の付加価値で決まる。

上記の3つの理由によって、商社がビジネスに介在し、実際に付加価値を提供していたとしても、ある程度ビジネスが継続し、成功して、取引規模が大きくなってくると、ある日、サプライヤーや顧客が思い立つのです。

「商社がいると、マージン抜かれるし、邪魔だな」と。

そして、商社がビジネスから退場することを要求されるわけですが、結局、商社の付加価値によるんだろうな、と思います。

つまり、商社が大きな付加価値を提供していれば、そもそも「商社を商流から外したい」なんて思われませんし、あるいは、少ない付加価値しか提供していないならば、商流から外されるのは時間の問題です

商社は常にそんなシビアな状況の中でビジネスを行っているのです。

まとめ

といったところで、まとめると、次の通りです。

  • 商社がビジネスから外されてしまう場面はしばしば発生する。
  • サプライヤー、顧客のいずれからも「商社を退場させよう」と思われる可能性がある。
  • ビジネスの初期においては、「与信リスクの吸収役」「集中購買機能の担い手」「もしもの時のリスクの吸収役」として駆り出されることがある。
  • 結局、商社がビジネスから外されるかどうかは、商社がどれだけの付加価値を提供しているかによる。

それでは、今日はこのへんで。読んでいただき、有難うございました。

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