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秘密保持契約を交渉する際のポイント【元法務部員が語ります】

投稿日:2019年8月25日 更新日:

秘密保持契約を交渉する際のポイント【元法務部員が語ります】

企業が結ぶ契約の中には「秘密保持契約」というものがあります。英語だと「Non-Disclosure Agreement」とか「NDA」とかっていうやつですね。これは、企業間で秘密情報のやりとりをするにあたって締結する契約ですが、これを締結するための交渉をするときにはいくつかのポイントが有ります。今日は、そんな(かなりマニアックなトピックですが)秘密保持契約について交渉する際のポイントを述べたいと思います(あ、言うまでもないですが、契約で本当に困ったことがあるのであれば、弁護士に相談してくださいね。)。

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ちなみに、秘密保持契約の内容というか、締結する目的は、ざっくりと次の2点があります(多くの場合)。

1.相手から受け取った秘密情報を第三者に開示しないこと。
2.相手から受け取った秘密情報を目的外のことで使用しないこと。

秘密保持契約を交渉する際のポイント

秘密保持契約を交渉する際のポイント

秘密保持契約を読むときのポイントは色々ありますが、この記事では次の3点について書きたいと思います。

  1. 秘密情報を開示する際に、「秘密」と明記する義務があるか。
  2. 当局に秘密情報を開示することを強制された際の規定があるか。
  3. 契約期間の長さ。

1.秘密情報を開示する際に、「秘密」と明記する義務があるか。

秘密情報を受け取る側からすると、開示者に「どの資料や情報が秘密情報に該当するのか」を特定させることが大切です。さもないと、「秘密情報と思っていなかったもの」が実は秘密情報で、後日になって開示者から「あの情報も秘密情報だったのに」「第三者に口外したから契約違反だ」などと言われかねません。

なので、秘密情報を開示する者が、秘密情報となる資料などに「秘密である」旨を明記させるよう義務付けることが大切です。また、もし口頭での開示など、「秘密であると明記する」ことが難しい場合には、開示する際に口頭で「今から話すことは秘密」などと明言させ、かつ、その後に「口頭で話した情報のどの範囲までが秘密情報に該当するのか」を書面でまとめさせて、提出させることが大切です。

2.当局に秘密情報を開示することを強制された際の規定があるか。

相手から受け取った秘密情報について、場合によっては、役所などの当局に「開示せよ」と命令される場合もあるでしょう。しかし、秘密保持契約を締結している場合、「第三者に秘密情報を開示してはならない」という規定があるわけですから、当局に開示してしまうと契約違反となってしまいます。

かといって、契約違反にならないように、当局に開示しなければ、これは当局からの命令に違反することになり、強制捜査や罰金などの不利益を招くことになりかねません。

そのような板挟み状態に陥らないため、「ただし、当局から開示を強制された場合は、秘密情報を当局に対して開示できる」旨の規定を設けておくべきです

上記規定に関連して、「当局に開示を要求された部分しか開示してはいけない」とか、「そのような事態が発生した場合には、開示者が秘密情報の保護を図れるように直ちに開示者に通知する」といった規定も追加で設けることもあります。

3.契約期間の長さ。

契約期間の長さも大切なポイントです。秘密情報を開示する側としては、相手により長く秘密保持の義務を負わせた方が良いですが、秘密情報を受領する側としては、そのような義務を負う期間は短い方が良いです

双方向で秘密情報を開示する場合だと、それぞれが開示する秘密情報の質と量を勘案して定める必要があります。契約期間が極端に長くなりすぎたり、短くなりすぎたりしないようにすべきです。

ちなみに、商社の場合だと、一方的に秘密情報を受領するだけ、というケースもしばしば有るので、そのようなケースだと、可能な限り守秘義務を負う期間を短くするように交渉しますね。

まとめ

というところで、まとめてみると、秘密保持契約を交渉する際のポイントは下記3点です。

  1. 秘密情報を開示する際に、「秘密」と明記する義務があるか。
  2. 当局に秘密情報を開示することを強制された際の規定があるか。
  3. 契約期間の長さ。

(※契約関係で困った際には、弁護士に相談してくださいね。)

それでは、今日はこのへんで。読んでいただき、有難うございました。

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