突然ですが、みなさん、”may”と”shall”の意味って知っていますか?前者は「~かもしれない」で、後者は「~するつもり」「~だろう」と思っていませんか?実は契約書の中で記載されている”may”と”shall”は全然違う意味だったりするんです。ということで、今日は、過去に法務部で英文契約書を作っていたことがある私が、英文契約書での”shall”と”may”の意味について書いてみたいと思います。
スポンサーリンク
英文契約書の”may”と”shall”
英文契約書における”may”と”shall”の意味は次の通りです。
- may: ~できる。【権利】
- shall: ~しなければならない。【義務】
なんと、普通の英語と全然意味が違いますよね。そうなんです。なので、例えば、”may”が書かれているから「~かもしれない」なんて読んではダメなんです。
「~できる」の”may”
例えば、こんな感じの英文があったとすると、どう読めばいいでしょうか?
Buyer may request Seller to repair defective Products in accordance with the terms and conditions as agreed by the Parties.
正解は「買主は、売主に対し、契約当事者が合意した条件に従って、不良のある製品の修理を要求することができる」です。
「買主は~修理を要求するかもしれない」ではないのです。
ただ、英文契約書の中であっても、たまに”may”が「~かもしれない」という意味で使われることがあるので、英文契約書を読むときには注意が必要です。・・・難しいですね。
ちなみに、「~できる」という意味だと”can”がありますが、これを英文契約書の中で使うことはありません。私自身も過去に何十、何百という英文契約書を読みましたが、契約書の中で”can”が出てきたことはありません。
“may”の否定形、すなわち、“may not”は「~することはできない」という意味になります。
「~しなければならない」の”shall”
次の英文は、なんて読めばいいでしょうか?
Buyer shall make payment for the Product in advance.
正解は、「買主は、製品の代金を前払いで支払わなければならない」です。そう、「~しなければならない」という義務を表すのです。
・・・といいつつ、次の英文だと、また意味が異なってきます。
If the Product fails to meet the specifications, Buyer shall have the right to return such Products to Seller at Seller’s expense.
上記だと、「製品が仕様を満たさない場合、買主は、売主の費用負担で、その製品を売主に返送する権利を持つ(返送することができる)」という意味になります(”shall have the right”となっていて「権利を持つ」という文章になっていますからね)。
否定形、つまり、“shall not”は「~してはならない」という禁止の意味になります。
ちなみに、「~しなければならない」とか「~してはならない」の意味だと、”must”と”must not”を思い出しますが、これもやはり、契約書の中では使われません。・・・不思議ですね。
まとめ
ということで、まとめると、英文契約書の中ではそれぞれ下記のような意味を持っています。
- may: ~できる/(たまに)~かもしれない
- may not: ~することはできない
- shall: ~しなければならない
- shall not: ~してはならない
というところで、今日はこのへんで。読んでいただき、有難うございました。
[あわせて読みたい]
・契約書独特の表現【慣れるまで大変です】
・契約書あれこれ【豆知識です】
一度きりの人生、後悔したくないのなら↓